「ああいうのが世に言う守ってあげたい女の子って言うのかな。男が自分が幸せにしてあげなきゃーって思うみたいな?」ぷつん、と歌姫の中で何かが切れる音がした。「あっそ」短く答えて五条を振り返る。五条もこちらを向いていて、目隠しを外した目と目が合う。キラキラしていて楽しそう。ああ、その子との食事楽しかったのね。違う、楽しかったのは食事じゃなくてその子との時間。歌姫とではなくて、知らない女と過ごした時間。「じゃあ、その子のことは大事にしろよ」飽きたならそう言えばいい。何もこんな、歌姫から別れを切り出させるような回りくどい真似をする必要があるか。
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