「...あのとき、あのΩのフェロモンに引っ張られたのは私だけじゃなくて、プロシュートもでしょ。プロシュートの本能も無理矢理に引き摺り出されちゃったんだって、ちゃんと分かってる。...そりゃ、押し倒されたの、すごく、怖かったけど。今だって、αと同じ部屋にいると思うと怖いけど。......でもね」<br><br>きゅっと、彼の指先を握る。口に出すのも、ほんの少し怖い。でも、きっと今声に出してしまわないと、素直にはなれない。<br><br>「...αじゃなくて、プロシュートだから、だいじょうぶ」<br><br>そう、震えながら口に出せば、プロシュートはその美しい顔をくしゃりと歪めた。私と目線を合わせ、まだ迷いを含んだ視線がかち合う。<br><br>「...本当にいいのか。別に今じゃなくても...」 「ヒ、ヒート中じゃなきゃ、番えないでしょ。それに...薬効いてるときじゃないと、多分怖くてできない...」<br><br>そう言って俯けば、プロシュートは震えた手で、ゆっくりと私を抱き締めた。そのまま、二人でベットに身を沈める。私を強く抱きしめがらも、プロシュートの唇は震えていた。...私の身体もまだガタガタと強張っているのに、彼も気づいているんだろう。 これからすることに、リスクしかない。うまくできるか分からない。また怖くなって、どうしようもなくなって彼を傷つけてしまうかもしれない。<br><br>それでも、もう。<br><br><br>「もう、こんな身体、嫌だから。...おねがい...プロシュート」<br><br>そう言って、彼の胸元に顔をうずめた。プロシュートは私の頭を抱き込んで、全身で固く抱き締めてくれる。<br><br>こちらを見据えた真っ青な目が、キラキラと燃えている。<br><br>「...お前はさっき、Ωの身体を"呪い"だって言ったな」<br><br>もし、目の前のこの眩しい彼に先立たれたら、私はあのΩのように無様にフェロモンを撒き散らして、今よりもずっと生き地獄を味わうことになるだろう。 私達は人殺しだ。その可能性はきっとどの番よりも高い。でも...ほんの少しなら、幸せになろうとしても、いいんじゃあないのか。 プロシュートの言葉を信じてようとするくらい、いいんじゃあないのか。<br><br>震える手で、プロシュートと手を繋ぐ。汗ばんだお互いの手が、溶けるように滲み合った。 彼の吐息が唇にかかるぐらい、その唇が近づく。<br><br>「...俺が呪いを解いてやるよ、principessa」<br><br><br>そうして、優しく唇が重なり合った。 ...
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